幸か不幸か彼氏とやらは全く結婚願望がないようだった。
彼女は懸命にアプローチしていたようだが、努力はことごとく泡と消えていた。
「どうしたらプロポーズしてくれるかなぁ」
ホテルのベッドでそんなことを言う彼女に適当なアドバイスをしつつ、
俺は俺なりに覚悟を決めておく。
二人は絶対に結婚なんてしない。
根拠は無いに等しいが、確信に近いものがあった。
これほどまでにわがままで自己中で性格の悪い女だ。
彼女を心の底から受け入れ、愛せるのは俺しかいない。
自分を最高の女だと思っている彼女はそれをわかっていないだけだ。
君だって心を開けるのが俺だけだって、本当は気付いているくせに。
そうでなければ、こんな風に乱れたりしないだろう?
ただ俺のような冴えない男が好きだなんて認めたくないだけなんだろう?
バカだな。
さっさと俺の女になれば良いものを。
そしたらきっと、君は今よりずっと幸せになれるのに。
ずっとずっと、幸せにしてあげるのに。