それから俺は毎日会社に残ってサンプルのページを作り始めた。
ディレクターがついていない分設計から何から自分でやらねばならないが、
彼女のためならいくらでもやってやる。
そしていつか企画書が完成したら、
作ったサイトを彼女に手渡そう。
「チャンスを逃すな」
沢田の言葉が頭をよぎる。
これはきっとチャンスなのだ。
逃してしまうともう次はないかもしれない。
一生ないかもしれない。
彼女も残って企画書の作成に精を出していた。
相変わらず彼女は俺を視界に入れてはくれないが、
俺は穏やかな気持ちで頑張る彼女を眺める。
頑張れ。頑張れ。
絶対に諦めるな。
もしダメになりそうな時は、俺が何とかする。
だから——……