何もできないまま、数ヵ月。
彼女のことであからさまに青木といがみ合っているうちに、
周囲にも俺の気持ちがバレてしまっていた。
誰かが彼女に俺たちの気持ちを伝えてしまわないかとハラハラした。
伝わってしまえば彼女は間違いなく、
俺ではなく青木を意識する。
この時点で気持ちが膨らみすぎていて、俺はもう彼女を諦められなくなっていた。
ある日、俺は週末にやむなく残してしまった仕事を片付けるために休日出勤した。
誰もいない、電話もならないオフィスは好きだ。
仕事も進む。
できればここに彼女がいてくれたら。
なんて馬鹿馬鹿しい妄想をしてみたり。
無駄に遠回りして、彼女のデスクの前を通ってみる。
すると、彼女が所属する課の課長のデスクに、何やらファイリングされている書類が目立つように置いてある。
表紙に記載されている彼女の名前。
ファイルを覗かずにはいられなかった。