聞こえた瞬間、指に挟んでいたタバコを灰皿に押し付けた。

俺と同時にタバコを消した男が一人。

青木だった。

俺と青木は顔を見合わせる。

青木も彼女の言葉を聞いていたのだ。

つまり今この瞬間、

青木に俺の気持ちがバレた。

火花を散らす、なんて言われるが、

今の俺たちはまさにそれだろう。

「丸山」

「なに」

「お前もか」

お前も彼女が好きなのか。

という意味だった。

「そうだよ」

素直に肯定すると、青木からポイッと箱が飛んできた。

「お前にやるよ」

「いらない」

そう言って俺が持っていた箱と一緒に突き返す。

「俺もいらねーよ」

俺と青木、二つの箱は、青木の手によって沢田に投げられた。

「俺だっていらねーよ」

と言って沢田はそれらを別の同期に押し付ける。