俺の彼女に対する気持ちを知っている沢田は、
こうアドバイスしてくれた。
「チャンスを逃すな」
チャンスなど俺に来るのだろうか。
しばらくして、青木がこちらにやって来た。
「丸山、沢田。男同士で何話してんの?」
楽しそうだな、本当に。
そりゃそうだ。
ちゃっかり彼女の隣を陣取っていたのだから。
だけどタバコを吸いたくなって、わざわざこちら側にやって来た。
「別に」
「本当にお前は無口で無表情で無愛想だな」
「うるさい」
「酒飲んでる時くらいテンション上がらないのかよ」
妬みやひがみの気持ちを込めて、
煙を青木に向けて吐き出す。
青木は大袈裟に
「やめろ!」
と腕を振り回し、そんな俺たちを眺めて沢田が笑う。
顔に出ないだけで俺は俺なりに楽しんでいる。
羨ましいし妬ましいけれど、青木だって友人だと思っている。
だけど、それと同時に恋敵だ。