土曜日、夜。
やっとというかなんというか、真奈美が俺の部屋にやって来た。
言われた通り、休みの前日を狙って誘ったのだ。
互いの仕事終わりに横浜で待ち合わせ、飯を食って酒を飲んでここへ帰宅した。
「うー寒い! 瑛士ん家ってなんでこんな寒いの?」
「冬は誰の家も寒いって。お前が寒がりなだけだろ。ファンヒーターのスイッチ入れたから、すぐに暖まるよ」
木造一戸建てに住んでいる真奈美にとって、鉄筋コンクリートのこのマンションは落ち着かないのだろうか。
もしかして、居心地が悪い?
だから合鍵があるのにうちに来たがらないのか?
買うなら早い方がいいと思って分譲のマンションを購入したが、気が早かったかもしれない。
俺はこの部屋がとても気に入っているが、真奈美にとってもそうとは限らないのだ。