帰りはほとんど奈智とは帰らない。 まぁ家に帰れば居るし、 会社の人に遭遇でもしたら気まずいからである。 愛美は寒くなりはじめた11月の 路地を1人、急ぎ足で帰った。 すると、後ろから こつこつ歩く音がした。 気になってふと振り向いてみると、奈智がウォークマンを聴きながら歩いていた。 奈智は話しかけてくれてもいいのに、あたしに気づいても口をへの字に曲げている。