私は、一番初めに、私に向かって来た、私を抱きしめた人を想った。

しかし、その人は来なかった。
だから忘れようとした。
直ぐには無理だった。
暫くして、漸く忘れかけた頃、その人はやって来てくれた。
やって来て、私を殴った。
他の人達よりも強く。
強く私を殴った。
此れ迄に感じたことの無い感覚を味わった。
「痛い」「辛い」「苦しい」…
随分長い時間が経っても、殴り続けた。
徐々に感覚が分からなくなっていく。
消えていく…
麻痺していく。


嗚呼、
もう何も分からない…


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