******* 名前を呼ばれて振り返る。 誰かが此方に向かって来る。 抱きしめられた私は、どうして良いか分からず、反応しなかった。 それでもその人は、腕を、決してほどこうとはしなかった。 なんだか懐かしかった。 これは「温かい」という感覚だ。 しかし、その感覚は直ぐに消え、その人と同様に、もう思い出せないものとなった。