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名前を呼ばれて振り返る。
誰かが此方に向かって来る。
抱きしめられた私は、どうして良いか分からず、反応しなかった。
それでもその人は、腕を、決してほどこうとはしなかった。
なんだか懐かしかった。
これは「温かい」という感覚だ。

しかし、その感覚は直ぐに消え、その人と同様に、もう思い出せないものとなった。