私は、今、某繁華街の人混みの中にまみれている、名もなき汚物だ。
汚物でさえ無いかもしれないが、そういうことにしておこう。

しかし、間違いだったな。
外に出ることさえ、此処数ヵ月間していなかったというのに。
こんな人の溢れかえった所に来てしまったなんて。
人に酔って目眩がする。
人が無数の煌めきに変わってゆく。
―星のようだ。
歩くことすらままならず、乱れてゆく呼吸を整えるのに意識を集中させる。
言うことを聞かない身体を無理矢理動かし、裏通りへ向かわせた。
人はもういない。
安心する。
ゆっくり目を閉じてみた。