「やっぺー!!パトカー来たぜー!!!」
海斗の声にみんなが反応し、急いで下に降りバイクに乗る。
それぞれパトカーを巻いて散っていく。
龍鬼幹部室―――――――
下の人達はみんな帰した。
私たちは部屋で傷の手当て。
「一体どんな体してんのっ?」
私は声を荒あげる。
楓は腕は絶対折れてるだろうけど、他のみんなは打撲。
「俺…絶対逝ってるよ!?(汗)」
楓の言葉に私はすぐ言う。
「そもそも一ヶ所だけ折れてるのが変っ!!」
「…………。」
楓が困ったように黙る。
「俊はもっと変っ!!!何処も折れてる感じしない。」
「まぁまぁ…とりあえず病院に行ってみようよ。」
蒼空が言い、みんな動き出す。
結果、私が言ったのと何も変わらなかった。
楓の骨折はひびが入っていて折れてはなかった。
他のみんなも打撲。
俊に至っては、切り傷が目立つだけで打撲のみ。
「絶対変っ!!人間ですかっ。」
私が駐車場までの道でみんなに問う。
「人間だよ、ひどいなー。」
楓が言う。
「ヒビが入ったのもたいしたことないから、1ヶ月で治るとか、わっけわかんない。」
「龍鬼は不死身なんだよ。」
亮汰の言葉に私は振り返った。
「心配して損した。」
“ヒッドーイ”やら“鬼ーっ”やらと双子と亮汰が叫ぶ。
「オマエも十分変だろ。」
俊が言う。
「私は普通だ。」
そう返すと海斗が言う。
「全然普通じゃない。唯奈女の子なのにこんなに喧嘩強いしケガもたいしたことないし。」
「普通ー普通ー。」
私は知らんぷりして言った。
「俺らだって心配してるんだよ。」
蒼空が不安気に言う。
「オマエも心配してる分、みんなもオマエを心配してんだ。」
俊の言葉に一瞬嬉しくなった。
「ありがとーございますー。」
棒読みする私に“ムッカー”と言い走ってくる海斗。
逃げる私を追いかけてくる。
それにつられて、みんな走って追いかける。
バイクのところに着いた頃には双子に捕まりみんな笑顔。
最後に笑える。
千夏以外にこんな思いするなんて思ってなかった。
今私は彼らの中に存在している。
あれから、夏休みは残り1週間となった。
みんな学校に行きたくない病が始まっていた(苦笑)
「夏休みって意外と短いよなー。」
亮汰の一言にみんな頷く。
その1週間さえあっという間。
今日から学校…今は既に暑苦しい教室にいる。
授業中だが暑さの限界で私はアイスを買い教室に戻り食べ始める。
「唯奈ー俺にも一口くれー。」
「ん。」
私は自分の食べていたアイスを海斗の口に入れてやる。
「んまーっ☆」
「大袈裟ー。」
…………何かものすごく視線を感じる。
海斗以外の龍鬼メンバーだった。
「海斗だけズルイー!!!」
蒼空の一言に私がアイスをやるとみんな食べる。
私分が無くなった。(チーン)
昼休み………いつも以上に女子からの視線が痛い。
はぁ……私が何をしたって言うんだよ。
「唯奈、ジュース買いに行くけど何飲みたい?」
蒼空が聞いてくれた。
「私も一緒に行く。」
「わかった。じゃ、一緒に行こうか♪」
そう言い2人で立ち上がると、海斗も付いてきた。
3人で遊びながら行くと、ついつい先輩にぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい!」
軽く頭を下げ謝ったが、腕を捕まれた。
「いやいや、ごめんじゃねーし。」
「あ?」
いつの間にか口を返していた。
蒼空と海斗は人混みの中にいてまだ気づいていない。
「まぢ生意気。見てるだけでムカツクわ。」
女の先輩たちが私にガンつけて言う。
「はあ?」
私は訳がわからないので一言聞き返す。
「うちの唯奈に何か用?」
海斗が私の前に出てきた。
「ぶつかられたから…」
女がそう答える。
「ちゃんと謝ったんでしょ?」
今度は蒼空が私の腕を引き私に問う。
「勿論、謝ったし軽くだけど頭下げた。」
「いや、そのー………いっ、行こう。」
女たちは焦って行ってしまった。
「全く、よくわかんねー奴等だな。」
海斗が言う。
私と蒼空が頷く。
「行こうか。」
蒼空の声に歩き出し教室に戻った。
翌日の朝、いつものように席に座り、机の中に入れてある煙草を手に取ろうとしたら、他には何も入っていないはずなのに紙が入っていた。
私は不思議に思い授業中、龍鬼メンバーが見てない隙に目を通した。
“昼休み3階(3年の教室がある階)空き教室に来ること。来なかったらオマエの人生めちゃくちゃにしてやる。龍鬼に言っても同じ。”
へー。
喧嘩売られたってことか。
女の字みたいだし、私1人で十分だし、言う必要もない。
何か悪いことしたかなー。
記憶にないんだよなー。
こんなことで龍鬼に迷惑かけるのは嫌だし、1人で出来ることは1人で片付けよう。
「唯奈!聞いてる?」
海斗がふてくされて私に言う。
「ごめん、ぼーっとしてた。」
「本当、朝弱いよな。」
亮汰が笑いながら言う。
「唯奈、今日は何する?」
海斗は私が退屈しないように、こうして授業中も話かけてくれる。
「俺トランプ持ってきたよ。たまにやるとハマるよね。」
蒼空も何だかんだ一緒に遊んでしまう。
こーゆー時、改めて双子だなーって思う(笑)
「いーなー。何か賭けようぜ?(笑)」
亮汰はいつもこう。
煙草やジュース、昼飯を賭けたがる。
まぁ、その方が面白いからィィけど。
「唯奈、ズルはだめだよ?」
「楓は人聞きが悪いなー。私ズルなんてしたことないよ、テクニック☆」
「それをズルって言うんだよ、もしくはイカサマだ。」
俊が冷静に突っ込む。
「もーっ!!!俊は負けるのが悔しいんだ。」
「俺、オマエらより勝率ィィし。」
「うわー!嫌味だなー。」
海斗が口を尖らせながら配る。
負けたのは言い出しっぺの亮汰。
昼飯おごりだー。
昼休みになり、私はトイレのあと屋上へ行くと無理矢理1人になった。
3階へ行き空き教室に入ると、3年の先輩と2年の先輩が待っていた。
「早く入りな。」
イキナリ真ん中へと立たされた。
「龍鬼と仲ィィみたいだけど、どんな手使ったわけ?」
「オマエみたいなのが一緒にいると迷惑なのがわからないの?」
「気づかなかった?アンタがずっと一緒にいるようになってから、私たち近付けないの。」
「………は?」
私は目が点になった。
バカなの?
私がいるだけでそんなことってある?
「“は?”じゃねーよ、」
1人が殴ろうとしてきたのを軽くかわす。
次の瞬間…………ガタン!!!!
ドアが勢い良く開いた。
そこにいたのは龍鬼メンバーだった。
やっばー………。
「唯奈。トイレだったよね。どうしてここにいりの?(ブラックオーラ)」
ブラック楓様降臨だー。
笑顔だけど笑ってない。
「いやー…何でだろ。迷子になった……?アハハ…(苦笑)」
「アンタ約束破ったね。覚えときな。」
女達が去ろうとしたとき……
「おい!オマエらこそわかってんのか?」
俊が怖い顔をして言う。
「俊君怖ーい。あの子には優しいのにね…。」
「あ?」
俊が余計イラついてるのがわかる。
「俊君達が悪いのよ?私たちのこと放っておくから。」
「勝手なこと言うなよ。」
楓も完全にキレてる。
「女は嫉妬するって良く言うでしょ?あんまり舐めてると痛い目遭うよ。龍鬼がNo.1なのは知ってるけど、私たちのバック全員に勝てる?ニヤリ」
アハハと嘲笑う女。
一体何者なの?
「やれるもんならやってみろ。唯奈は関係ない。」
海斗が言う。
「唯奈も龍鬼の仲間だからつえーぞ?」
亮汰が続けてフッと薄ら笑いし言った。
女はドアを殴り壊し行ってしまった。
「唯奈、勝手に1人で危ういことすんな!!!」
海斗が怒る。
「うん。大丈夫だよ。私女の子に負けないし。」
「あいつら、レディースなんだ。たち悪いんだよ。傷付いてもほしくないから!!!!」
蒼空が怒鳴る。
「蒼空、…。ごめんね、みんな熱くなって。でも本当に俺たちにもちゃんと言ってね。」
楓が優しくフォローする。
その後、学校も終わり倉庫にいる。
私は1人何があったのか知らない。
聞くにも何て聞いたらィィのか。
……………倉庫で過ごした後、家に帰り久々に夜の街へと出た。
みんなに禁止されていたから、今までは守ってたけど、どうしても知りたい。
私だって、ヘマをしなければ絡まれても平気…。
負ける気がしない。
街から少し離れると奴等は現れる。
族が次々と……。
居た、よっぽど強いレディースなんだろうか?
私にはよくわからない。
「あ、アイツ!!」
レディースの1人が私を見つける。
「アンタ1人で来たわけ?(笑)」
何がおかしいのかわからないが、バカにしたような口調で話す女。
今日の昼間の女達…やっぱりコイツが頭か。
「そうだけど。聞きたいことあって来た。」
ほぼ、棒読み状態で話す私。
「そう……なら、昼間のお礼が先だな。ニヤ」
そう言うと、女達が武器を手に襲い掛かってきた。