海から上がるとき、浮き輪が波に引かれて私は転んでなかなか起きれなくてもがいていた。
そんな私の姿を見て2人が笑い、私も笑った。
そう………みんなと一緒にいて、初めて笑ったの。
「うおーーー!!!!笑ったーーーー♪」
海斗が叫ぶ。
「おーい、唯奈が笑ったぞー☆」
亮汰がシートにいる俊達の方へ走りながら叫ぶ。
私は海斗に起こしてもらい、シートに行き座ると蒼空が髪を拭いてくれる。
「お兄ちゃんみたい。」
そう言いフフフと笑う私を嬉しそうにする蒼空。
「帰るぞ。」
俊の言葉にみんなが反応し、動き出す。
辺りはいつの間にか夕陽に照らされていて、人も少なくなっていた。
翌日…今日の夜はみんな暴走(ハシリ)の日だから、私は倉庫にはずっといれない。
昼過ぎには家に帰ってきた。
夜10時半過ぎにケータイが鳴った。
俊からの電話……。
何だろうと、思いつつ電話に出た。
「はい。」
「今からみんでオマエの家に行く。迷惑か……?」
「え?…全然迷惑じゃない!」
「そうか、」
ツーツー…………
私は急いで綺麗にした。
ピンポーン。
来た!!!
ガチャ!!!!
勢いよく開けた。
『コラ!!!』
何故か双子と亮汰に怒られた。
「………?」
「普通すぐ開けるか?もし、唯奈を狙ってる族だったらどうするんだよ。」
亮汰が言う。
「あ、ごめん…」
「全く。」
蒼空が笑い頭をポンポンとする。
「次は気を付けるように☆」
海斗もニカッと一言。
「うん。」
私はすぐに笑顔になる。
1時までみんなと一緒にいた。
ただ一緒にいるだけで私は笑っていれる。
前までは考えられなかった。
彼等は今では大切な存在になっていた。
私に生きることの楽しさ、喜びを教えてくれて、変えてもらった。
千夏と同じくらい今では大切。
千夏……あなたがいるときに、今の私になっていたらあなたも喜んでいてくれたよね…。
きっと…………。
夏休みになって1週間…
バタバタバタ!!!!!!バタン!!!!!!
勢いよくドアが開き、下の人が1人入ってきた。
「狂神連合がっ…!!!!!」
………キョウジンレンゴウ?
「どうした!?!?」
真剣な顔かつビックリした様子で蒼空が聞く。
「動き出しました…!!!!」
「本当か!?!?」
海斗が飛び上がり聞く。
「はい、………」
「どういうこと?」
疑問だらけの私が口を開くが、みんなの耳には聞こえてないみたい。
楓が今来た男となにか話してる。
男が下に降りると、楓が話始めた。
「朱雀の幹部が殺られた。」
「んな、ありえねーだろ、まぢかよ…!!」
海斗が叫ぶ。
「おい、ヒロは。」
俊が怖い顔をしたまま聞く。
「入院したらしい。」
楓が答えると亮汰が壁を殴る。
バンッ!!!!!
沈黙となった幹部室。
私は静かに口を開いた。
「………何の話……?」
「ごめんね…唯奈にも教えておかなきゃね。」
蒼空が冷静に言う。
狂神連合は…風神、雷神、竜神の3つの族が1つになった族らしい。
闇討ちしたり、幹部数人と頭VS狂神連合全員で殺っているのが今の現状。
少し前までは大人しくしてて、卑怯もんの集まりと言われるくらいだから、龍鬼だけじゃなく、他の族も気を付けてはいたらしい。
3つが個々にバラバラだった時、龍鬼のOBに3つとも殺られたらしく、その頃同時に朱雀、爆乱氣(バクランキ)も勢い付いていて、3つの族が再び上に上がって来ることはなかった。
だが、この春から狂神連合ができたと数々の噂が広まった。
そして…殺られた朱雀、爆乱氣、龍鬼に今逆襲しようとしているらしい。
朱雀総長であるヒロはこう伝えろと言われた。
“狂神連合の逆襲劇の始まりだ”
と……………。
「なにそれ…ふざけてる、そんな卑怯な事まてして潰したいのかよ。」
私は腹が立って口に出していた。
ヒロと言う人率いる朱雀、キョウヤと言う人率いる爆乱氣は互いに喧嘩仲間らしい。
「さて…どうしようか。」
楓が真剣なおもむきで言う。
みんなも顔が怖い。
「唯奈、気を付けろよ。」
俊が静かに言った。
「人の心配してないで自分の心配しろよ。」
私は心配と同時に怒りで冷たく言い放った。
その日、静かなままみんな解散した。
二日後、今度は爆乱氣のキョウヤ1人が殺られた。
周りの話だと1人になったとこを狙われ、30人以上VSキョウヤだったと言う。
知らせを受けた次の日、蒼空と俊と私で様子を見に病院へ向かった。
偶然なのか、医者がそうしたのかわからないが、同じ病院で同じ部屋らしい。
4人部屋にキョウヤとヒロ、幹部二人がいるらしい。
病室に近付くにつれて騒がしい声が聞こえる。
「てめーが死んどけや、コラ!!!!」
「んだと、コラ!!!!!」
ココ病院ですよね?…………
ガチャ!!!!!
『ぁあ"ん"?』
私が固まる。
入院だからヤバイんだろうと思いきや……。
骨折してるのに立ち上がり殺り合おうとしていた。
「お揃いで相変わらずバカやってますねー。」
棒読みする蒼空。
「んだと、双子のどっちか!!!!」
ヒロと呼ばれる人が言う。
「蒼空ですー。ィィ加減覚えてくださーい、かに味噌詰めてるヒロさーん。」
全て棒読みでまた蒼空が言う。
一応先輩なのに…。
こんなこと言って…。
「ちょ、蒼空?(汗)」
私に“ィィの、ィィの”と言う蒼空。
「コイツ空っぽだぜ?味噌はいってねーよ。」
バカにしたように言うのは、キョウヤと呼ばれる人。
「いやいや、キョウヤさんもですー。」
これまた蒼空が棒読み。
「ィィ格好だな、オマエら。」
俊までもが煽るような言い方。
俊は敬語すらなかった。
「はぁ…バカばっか。」
私が呆れるように言う。
「ぁあ"?」
キョウヤに睨まれ…………てない。
何故か近くにくる。
「あっれー♪可愛い子いるじゃーん☆」
そう言うキョウヤを殴り飛ばし、ヒロに肩を抱かれた私。
「え…。」
「俺の看病してくれよ♪骨折しちゃったんだよー♪」
バコ!!!!!!
俊がヒロを吹っ飛ばした。
「ってーな!!!」
無視して蒼空が話を切り出す。
「次はうちだな。」
その瞬間静かになった。
ヒロとキョウヤな顔には“悔しい”とでも書いているような顔をしている。
「オマエらこのままでィィのか。」
俊が言う。
いやいや、みんな入院してるんだから、殺り返したくても…………。
「んなわけねーだろが、こんなもん折れたフリだ。」
キョウヤが言う。
「俺はただの打撲だ。」
今度はヒロが言う。
アホだ、こいつら。
ありえない。
骨折してるだろ、明らかに。
入院の意味知ってんのか。
「そうか。」
俊がそう一言言い、私たちは病室を出た。
外に出て私が聞く。
「あの人たちバカなの?…絶対変。」
その言葉にただ笑うだけの2人。
全く意味がわらない。
倉庫に戻ると幹部室では、楓、亮汰、海斗がすでに特効服を着ていた。
準備万端の合図。
そして、蒼空と俊も着替えて龍鬼全員で狂神連合の元へ向かった。
私も付いていくと言い張って、無理矢理付いてきた。
私だってみんなと一緒だ。
女だからって舐めないでほしい。
元々私は族潰しのために、喧嘩を強くしたんだから。