「何だ、起きてたのか。」



私がそう言うと、フッと笑う俊。




「どうした。」



俊が体を起こし訪ねる。





「みんな居なくて詰まんない。」




「そうか…来い。」




俊に呼ばれ再び近付くと、ソファーに座れと合図し私は俊の隣に座った。





1枚の写真を見せてくれた。





「これみんな?」



「ぁあ。」




そこには12代目と龍鬼と書かれた旗と、みんなが特効服を着ている姿があった。



OBの人とも写っている写真も持ってきてくれた。





楽しそうに俊達が中3の頃の話をしてくれる。






中学の時に喧嘩していくうちに仲良くなった5人。
初めの頃は喧嘩ばかりしていたらしい。
今じゃ信じられない。
殴り合いの喧嘩だなんて。





話を聞いているうちに、心地好くなってきて私はいつの間にか眠ってしまった。







龍鬼sid



みんな一斉に幹部室に帰ってくると、俊の膝の上で眠っている唯奈。



「ィィ顔して寝てるね。」




蒼空が微笑ましく言う。




「最近の唯奈の顔優しくなったよな、」




亮汰が静かに話す。





「ィィ事じゃん☆」



海斗はニコニコしながら、買ってきたモノを出していた。




「俊、唯奈と2人きりだったね。」



意味ありげに楓が言う。




「別に…どうってことねーよ。」




俊が照れくさそうに言うと、蒼空が突っ込む。





「それにしては、俊もィィ顔してたよなー。」




アハハと笑う4人。
俊は無視して雑誌を開く。




「俊。雑誌逆だよ。プッ(笑)」




海斗の突っ込みによりみんな笑う。






龍鬼sid-end-
それから少しして、夏休みになった。



夏休み初日…………
海に向かう私たち。




「着いたーーーー!!!!!!!」




海斗が叫びはしゃぐ。





砂浜にシートを敷いてみんな水着姿に。





「……………。」



「唯奈、どうした?」




亮汰が固まっている私に聞く。





「なんか…見慣れなくてこっちがハズイ。」





私の発言にみんなが笑う。




私も水着になる。





「おーー☆唯奈可愛い♪」




海斗が更にはしゃぐ。





「声大きい!!(汗)」





私が慌てると亮汰が爆笑する。





「唯奈が焦ってるよ(笑)」




「もうっ!!!!(恥)」




今度はみんなが笑う。







「1人で歩いて行っちゃダメだからね?」




蒼空が確認するように言う。




「わかってるよ。」



「………やっぱりダメだ、これ着ろ。」





俊がイキナリ言い出しTシャツを手渡してきた。
顔が赤くなってる……?




「大きいよ…。」




楓がクスクス笑いながら文句を言う私に着せる。






『ビーチバレーすんぞー♪』





亮汰と海斗が叫び、私は走って向かった。




「俊た楓もやろーよ、」





私がそう言うと2人とも来てくれた。







しばらくやって、みんなでシートに戻ると今度は海斗が、浮き輪を持って言う。






「海入るぞ、唯奈☆」


「あ、うん。」


私は海斗の方に行き、浮き輪を付けて海に入った。
亮汰もすぐ来て2人で引っ張って泳いでくれた。







海から上がるとき、浮き輪が波に引かれて私は転んでなかなか起きれなくてもがいていた。
そんな私の姿を見て2人が笑い、私も笑った。





そう………みんなと一緒にいて、初めて笑ったの。





「うおーーー!!!!笑ったーーーー♪」




海斗が叫ぶ。




「おーい、唯奈が笑ったぞー☆」




亮汰がシートにいる俊達の方へ走りながら叫ぶ。




私は海斗に起こしてもらい、シートに行き座ると蒼空が髪を拭いてくれる。





「お兄ちゃんみたい。」





そう言いフフフと笑う私を嬉しそうにする蒼空。






「帰るぞ。」




俊の言葉にみんなが反応し、動き出す。
辺りはいつの間にか夕陽に照らされていて、人も少なくなっていた。








翌日…今日の夜はみんな暴走(ハシリ)の日だから、私は倉庫にはずっといれない。
昼過ぎには家に帰ってきた。





夜10時半過ぎにケータイが鳴った。
俊からの電話……。
何だろうと、思いつつ電話に出た。





「はい。」



「今からみんでオマエの家に行く。迷惑か……?」



「え?…全然迷惑じゃない!」




「そうか、」





ツーツー…………






私は急いで綺麗にした。




ピンポーン。


来た!!!




ガチャ!!!!




勢いよく開けた。





『コラ!!!』





何故か双子と亮汰に怒られた。





「………?」




「普通すぐ開けるか?もし、唯奈を狙ってる族だったらどうするんだよ。」




亮汰が言う。




「あ、ごめん…」



「全く。」




蒼空が笑い頭をポンポンとする。



「次は気を付けるように☆」




海斗もニカッと一言。






「うん。」





私はすぐに笑顔になる。





1時までみんなと一緒にいた。





ただ一緒にいるだけで私は笑っていれる。






前までは考えられなかった。





彼等は今では大切な存在になっていた。






私に生きることの楽しさ、喜びを教えてくれて、変えてもらった。






千夏と同じくらい今では大切。







千夏……あなたがいるときに、今の私になっていたらあなたも喜んでいてくれたよね…。
きっと…………。







夏休みになって1週間…






バタバタバタ!!!!!!バタン!!!!!!




勢いよくドアが開き、下の人が1人入ってきた。





「狂神連合がっ…!!!!!」




………キョウジンレンゴウ?





「どうした!?!?」




真剣な顔かつビックリした様子で蒼空が聞く。





「動き出しました…!!!!」





「本当か!?!?」




海斗が飛び上がり聞く。





「はい、………」




「どういうこと?」





疑問だらけの私が口を開くが、みんなの耳には聞こえてないみたい。





楓が今来た男となにか話してる。




男が下に降りると、楓が話始めた。





「朱雀の幹部が殺られた。」


「んな、ありえねーだろ、まぢかよ…!!」




海斗が叫ぶ。





「おい、ヒロは。」




俊が怖い顔をしたまま聞く。




「入院したらしい。」




楓が答えると亮汰が壁を殴る。





バンッ!!!!!








沈黙となった幹部室。







私は静かに口を開いた。




「………何の話……?」




「ごめんね…唯奈にも教えておかなきゃね。」




蒼空が冷静に言う。




狂神連合は…風神、雷神、竜神の3つの族が1つになった族らしい。
闇討ちしたり、幹部数人と頭VS狂神連合全員で殺っているのが今の現状。
少し前までは大人しくしてて、卑怯もんの集まりと言われるくらいだから、龍鬼だけじゃなく、他の族も気を付けてはいたらしい。
3つが個々にバラバラだった時、龍鬼のOBに3つとも殺られたらしく、その頃同時に朱雀、爆乱氣(バクランキ)も勢い付いていて、3つの族が再び上に上がって来ることはなかった。
だが、この春から狂神連合ができたと数々の噂が広まった。






そして…殺られた朱雀、爆乱氣、龍鬼に今逆襲しようとしているらしい。
朱雀総長であるヒロはこう伝えろと言われた。




“狂神連合の逆襲劇の始まりだ”





と……………。