亮汰の声にみんなの顔付きが変わる。
走るスピードを上げ、玄関まで走りチャリ置き場まで更に走った。
「乗れ、早くしろ!!!!!」
俊が必死に言うが私には聞こえていなかった。
蒼空が私を持ち上げ跨がせる。
「行くぞ、」
俊の声にみんな反応し走り出す。
そのまま彼らの倉庫に連れてかれた。
少しして倉庫に着き、俊に降ろされる。
そして腕を引かれ幹部室へと連れてかれた。
「俺の着替えしかないけど…よかったら着て☆」
蒼空が優しく微笑み言うが…
「要らない、何で…逃がすの。私はあんた達が嫌いだし、宣戦布告した女なのにどうして………」
私は震える身体、震える声で言った。
「何かあったんでしょ?………今日の唯奈ちゃん怖い。」
海斗が言う。
怖い…?私が…?
「人…殺しそうたぞオマエ。」
俊に言われて目の前が真っ暗になった。
「殺してやりたかった…千夏を殺した奴らを…楽しんでた奴らを…笑った奴らを…。今朝…千夏が死んだ。ナイフで数ヶ所刺され………」
!?!?!?!?!?
話の途中で俊が私を抱き締めてきた。
「もうィィ。オマエ…涙も出ねーのか。でも…泣いてんだろ?…………。」
何も言えなかった。
私のたった1人の大切な人…。
母が亡くなってからずっとそばに千夏がいてくれたから、今の私があるのに…。
なのに…もう千夏は居ないんだ…。
「座れよ…。」
そのまま私はソファーに座らせてもらい、俊が隣に座った。
私は放心状態…身体、精神ともに疲労でいつの間にか眠ってしまった。
龍鬼sid
「寝ちゃったね。」
海斗がそっと布団を掛けた。
「昨日今日だろ?肉体的にも辛いって。」
亮汰が唯奈の新しい制服を用意している。
「学校の方は大丈夫そうだよ。」
楓の一言でみんな安心する。
「可哀想に…自分ばかり責めて。」
蒼空が唯奈を撫でながら言う。
「傷だらけだな…身も心も。」
俊の膝で眠る唯奈…細い体であんなに喧嘩が強いとはみんなが疑う。
「これがきっかけだよ、何とかしてあげよーぜ?」
「俺、優しい良い子だと思うんだ。」
双子の海斗、蒼空がそれぞれ言う。
「分かってるさ、俊が一番。」
楓の言葉にみんなが二人を見る。
龍鬼sid-end-
夕方、私はやっと目を覚ました。
相当疲れてたのかも。
『起きたー☆』
双子が叫ぶ。
「帰る…迷惑かけたな。」
私が立ち上がると蒼空が手を引く。
「どこ行くの。」
真剣な顔付きで問う。
「放して。」
沈黙する部屋。
今度は海斗が言う。
「みんなで送るよ。」
「必要ない。これ以上一緒に居たくないし、こんなところにも居たくない。」
私は手を払い出ていった。
外にもカナリの数の族がいた。
みんな私を見ているがシカトして歩く。
街に出て裏道を行く。
血のついた制服のままだったから、人目を避け歩く。
家に着き、シャワーを浴びる…傷がしみるのはいつもこと。
心に大きな穴が開いているようで…無性にやるせない気持ちになった。
シャワーから出て再び夜の街に出る。
今日も私はいつもと変わらない。
族を見付けては潰していく。
ただ……今日はいつもよりも殺りすぎてる。
止まったら何もかも無くなりそうで怖い。
息を切らしながら3つ目の族に辿り着いた。
今日だけで100人以上とは殺り合ってる。
最後…ここで帰ろう。
パッと見、150はいるが迷わず突っ込む。
帰り道………
ボロボロになりながらも家に戻る。
明日も学校………。
2、3年生早く潰さなきゃ。
早く……………。
残りわずかな時間しかないが、少しでも眠る………。
夜中3時半……………。
眠りたいのに眠れない。
寝てしまったらまた今日も1日終る。
夢でしか会えない母と千夏。
会うと起きた時辛いから寝たくないのに。
眠らなきゃ体力が持たない。
人って…………嫌だな………。
朝、学校に着き自分の教室に向かわず、2年の教室を見て回った。
だが、噂は早いものでまた朝から乱闘している。
昨日千夏を殺した奴らの幹部、千夏の仕返しが出来る。
3年呼ぶなんて…てめーらで掛かって来れねーってわけか。
雑魚をとっとと片付け幹部に向かっていくと、邪魔が入った。
「はい!!!そこまで☆」
ったく、誰だよ…。
「お前ら女相手にふざけんな。また病院送りにすんぞコラ!!!!」
ドスのきいた声で奴らに言う。
「大丈夫?ようやつたね。強いわ。」
知らない男5人…。
「お前ら…」
今私が殺っていた奴らの頭が言う。
「あ"あ"ん"?誰に向かって“オマエ”じゃボケぇ~!!!!(鬼)」
…………えーーー…………。
5人は奴ら幹部を殺ってしまった。
「俺ら龍鬼のOBで元11代目の幹部。もしかして、昨日の件の関係者だったり?」
「昨日?」
私は首を傾げると違う男が言う。
「こいつら女殺しただろ。」
「………………。」
「その子の友達か?」
「親友だ。」
「そうか…。もうこの辺にして教室行け。」
「オマエらにそんなこと言われたくないし邪魔だ。」
私は冷めた口調で言い、その場を立ち去ろうとした。
「唯奈ちゃん!!!!」
蒼空が叫ぶ。
「何で…。」
龍鬼が来ていた。
「朝から激しい女の子やなあ☆」
OBの人が言う。
「色々とあってね。サンキューまーくん♪」
海斗がまーくんと言う関西弁の人に言う。
まーくんらは手を振り教室へと入って行った。
苛立つ私をよそに海斗が言う。
「もうやめなよ、見てるこっちが辛い。」
「煩い。私に構うな。」
私はスタスタと歩き教室へと向かう。