龍鬼sid




「ったく、行っちまったよ。」




「俊、油断してたろ。」




楓の言葉に俊が口を開く。




「俺はアイツとは殺らねー。行くぞ。」



倉庫に戻る途中だった彼等。
夕食を済ませた後だった 。
人だかりを発見して、海斗が走り出しそれを追い、亮汰と蒼空が追った。





目に映った光景は今日の昼間のようだった。
彼女が血だらけでいた。
話しかけた楓を無視して完全に殺っている。






それを俊が止めて俊が話すと蹴り飛ばされた。
彼女は少し取り乱していた。




倉庫に着き話題はやっぱり彼女。





「なあー俊、あの子大丈夫かな。」



蒼空が言う。




「大丈夫じゃないから俊が、あーなんだよ。」



双子の兄海斗が言う。





「俺もあの子は放っておけねーな。」



「亮汰がそんなこと言うとはな。」




楓の言葉に少しムスッとする亮汰。




「どーするか…。」



俊は考えてはいるが思うようにいかなくて、イラついてもいるようだった。



「とりあえず、過去の彼女の情報は手に入ったよ。」





楓の言葉に目を見開く双子。





『スゲーじゃん!!!』





だが、
内容はえげつないものだった。







「俺等に何が出来んだよ。」



亮汰の悔しげな言葉が響く。




「けど、それはルール違反だろが。」




海斗が怒り口を開く。
続けて蒼空が言う。




「俺等はそんなをんじゃねーよ…。分かってもらいたい。」




「彼女無意識に族選んでるんだよ。」




楓が言う。




『どういうこと?』



双子は首を傾げる。





「昨日のクラスの族の一部も今日の族も、卑怯なことやったり、何かをはき違えてる奴らばっかだし、暴れ放題でルール無視だろ。」




「奴らに喧嘩仲間すらいねーだろ。」




楓の言葉に俊が続けて言い、俊は倉庫から出ていき、解散になった。





龍鬼sid-end-




次の日…
千夏が迎えにきた。


ピンポーン。



いつもの朝…
そう…いつもの…ハズだった。




千夏の顔を見るまでは。





ガチャ……バタン!!!!!




「ち…千夏……?」




血だらけでボロボロの千夏…パニックになった。





「ごめん…ね、昨日のクラスの奴らの……ゲホッ、ゲホッ…はぁ…幹部に…。」




今にも消えそうな声で精一杯私に伝える。




「喋んな!!!」




私は急いで救急車を呼んだ。
嫌な過去が蘇る…。





尋常じゃない出血……




「刺されたのか……千夏。私のせいだよな。」




止血しても尚、止まることのない血の量…。
みるみるうちに冷えきる身体。
青くなってく唇、顔、手足…。





“私のせいだ”












病院に運ばれたが…………遅かった。





千夏の親が私の目の前に来た…。




パシンっ!!!!!!




「あなた!!!!」





おじさんにぶたれた私…おばさんが叫ぶ。





「オマエなをんかと一緒にいたから…千夏は…千夏は…!!!!」



「あなた…やめて(泣)お願いよ(泣)」




おはさんが必死に止める。





「すみません…私のせいです。」



「ぁあ、そうだ…俺たちの前から消えろ!!!!!」






おじさんのこの一言で私は家に帰った。
胸にスゴく響いた…。




血だらけの玄関。
千夏はもういない。
やっと高校生になれたのに…。
まだ1日しか行ってないじゃん…!!!!




久しぶりに涙が出そうだった。






大好きな親友を自分の手で殺めたも同然。
私本当に自分の事しか考えてないとんだドアホだ。







そう思いながらも学校へ行く。
行かなきゃ行けないから。
私が決めた…千夏が卒業はしようと言ってたからそれだけは守りたい。





教室に入ると先生が酷く驚いていたのも束の間、千夏をあんな目に合わせた、本人等がクスクスと笑っていた。
昨日ぶちのめした奴ら。





私は殺す勢いで奴ら目掛けて突っ込んで殺り始めた。






「オマエらが死ねよ。ぶっ殺してやる!!!!!!」






いつもの冷静さも失い、殺人鬼かと思うくらいの勢いでボコボコにしていく。





終わった頃には教室は昨日以上に血の海で、めちゃくちゃな椅子や机、その他もろもろ。




2日連続でめちゃくちゃにした私。






流石に退学かな…。






『えーーーーーーー!!!!!!』




龍鬼の双子が教室のドア前で叫ぶ。




「何だこれ…!!!!」




亮汰が絶句している。





「とりあえず、逃げるよ!!!!」




私は蒼空に手を引かれた。
そのまま龍鬼一同は走った。
何も考えれなくなっている私…。
走りながら海斗が言う。




「先公とか察とかどうするよ?」




「察は逃げ切れるだろ、先公はどうにかするよ。退学はならないと思うけど…一応手を回す。」





楓が走りながらどこかに連絡をしている。




「ったく、何してんだよオマエ。」




俊が心配そうに言う。



既にパトカーや救急車のサイレンが聞こえる。





「やべーぞ、急げ。早くしろ!!!!!!」






亮汰の声にみんなの顔付きが変わる。
走るスピードを上げ、玄関まで走りチャリ置き場まで更に走った。




「乗れ、早くしろ!!!!!」




俊が必死に言うが私には聞こえていなかった。
蒼空が私を持ち上げ跨がせる。





「行くぞ、」




俊の声にみんな反応し走り出す。





そのまま彼らの倉庫に連れてかれた。







少しして倉庫に着き、俊に降ろされる。
そして腕を引かれ幹部室へと連れてかれた。






「俺の着替えしかないけど…よかったら着て☆」



蒼空が優しく微笑み言うが…




「要らない、何で…逃がすの。私はあんた達が嫌いだし、宣戦布告した女なのにどうして………」





私は震える身体、震える声で言った。





「何かあったんでしょ?………今日の唯奈ちゃん怖い。」




海斗が言う。






怖い…?私が…?




「人…殺しそうたぞオマエ。」




俊に言われて目の前が真っ暗になった。







「殺してやりたかった…千夏を殺した奴らを…楽しんでた奴らを…笑った奴らを…。今朝…千夏が死んだ。ナイフで数ヶ所刺され………」




!?!?!?!?!?





話の途中で俊が私を抱き締めてきた。







「もうィィ。オマエ…涙も出ねーのか。でも…泣いてんだろ?…………。」




何も言えなかった。





私のたった1人の大切な人…。






母が亡くなってからずっとそばに千夏がいてくれたから、今の私があるのに…。






なのに…もう千夏は居ないんだ…。




「座れよ…。」





そのまま私はソファーに座らせてもらい、俊が隣に座った。




私は放心状態…身体、精神ともに疲労でいつの間にか眠ってしまった。