「うちのレディースが病院送りにされたみたいでな。この女が犯人みたいだなぁあ。仮を返さないとな。丁度、お前らも潰したかったところだしよ、来いよ。女が無傷なうちに。」
ツーツー…………。
「クソがっ!!!!!」
ガチャーン!!!!!!
俊が発した言葉と共に瓶を蹴り窓ガラスが割れた。
「落ち着けって!!!!」
楓がおさえる。
「唯奈が獏蘭の省吾に捕まってる。」
俊が話だし、内容を聞き終え、海斗が壁を殴る。
言うまでもなく、壁には穴が開いた。
「行くぞ。」
俊が言い急いで向かった。
幹部は車に乗り込み、残りはバイクで車のあとを追う。
「唯奈…無事なのか?」
蒼空が聞くと俊が頷く。
「どういう経緯で捕まったのかはわからねーが、今のとこ無傷らしい。」
俊が言うと、海斗が口を開く。
「今のとこ?何かしたら俺殺しちゃうかも。」
「落ち着けって。俊、オマエも殺りすぎるなよ。話は把握した。唯奈の心をこれ以上傷つけるなよ。」
楓がみんなに言い、黙り込む中蒼空が言う。
「やっぱり、あの時の車だったのかもしれない。俺がみんなをしっかり止めて、言ってたら…」
「オマエを誰も責めることできねーよ。探すのに必死たったから。」
亮汰がフォローする。
-end-
エンジン音がある一定距離で聞こえてくる。
集まったみたいだ。
バイク…車…聞き覚えのあるエンジン音。
ガチャ………。
再びドアが開かれた。
拘束されたままさっきの男に担がれ連れてかれる。
「来たな。クククッ(笑)」
違う男が話す。
「省吾さん、奴等ホントに来ましたね。(笑)」
男が省吾さんと呼ばれる奴に言う。
「まず、殺らせてみるか。女を降ろせ。」
そう言われ、男は私を降ろした。
すごく広い倉庫………。
龍鬼を待ち構える数百人の族。
ここはなんて言う族なんだろ……。
ドカーン!!!!!
勢い良く開かれたドア…見慣れた顔触れ…俊たち幹部を筆頭に龍鬼全員の姿。
私の胸が締め付けられる。
「わりーけど、うちの唯奈を返してもらおうか、卑怯なクズ共がっ!!!!!」
亮汰が叫ぶ。
省吾が私の方を向く。
厳つい顔にピアスが鼻、口、耳、瞼についている。
「女を貸せ。」
省吾が男に言い、担いで省吾の元へ連れていく。
肩を抱かれ、身震いし、気持ち悪さを覚える。
「ィィ女だな。傷もんにされたくなきゃ、しっかり言うことを聞くんだな。」
言い終わると、手で合図し、乱闘が始まった。
私がいるところは、少し高い台みたいなのに、立っているから、全てが見えている。
10分くらい経ち、省吾が幹部に言う。
「やっぱり、雑魚相手だと、殺られるのも時間の問題だな。所詮雑魚は雑魚だな、つかえねー。」
イライラした様子の省吾。
「次はもう少し使える奴等揃えるから、そー怒るなよ。」
男が言う。
「準備しとけよ?もう、ゴミが片付く頃だ。」
省吾が幹部に言う。
ゴミ?……………。
仲間じゃねーのかよ。
どういう神経してんだ、こいつら。
省吾の言葉に下へと降りて行く。
私も担がれ連れてかれる。
全員殺られたのを確認すると、男が言う。
「オマエ一人で俺ら幹部の相手しろ。」
俊に向けて言う。
「上等だ。」
俊が答える。
「ま、俺はこの女捕まえてなきゃなんねーから、三人の相手だな。」
そう言うと、三人が前に出て、一人がイキナリ俊を殴った。
「っち、」
血を口から吐き舌打ちをし、立ち上がる俊。
私のことなんか放っといて、さっさとみんなで殺ればィィのに!
みんな優しすぎるんだよ…集まったみたいのために…。
殴られても蹴られても構わないのに、なんで動かないの…………みてるのが辛いよ。
三人相手に俊が殺り合う。
そのうちに、一人がモロに殴ったのが入ってぶっ飛んだ。
ガン!!!!!!カランカラカラカラン…。
鉄パイプの山に飛ばされたため、崩れ落ちてきた。
その瞬間に、省吾が口を開く。
「てめーら、何してんだ!俺を怒らすな。殺すぞ。」
ドスの効いた声で響く。
残りの二人が青冷めた顔で、俊に向かって行く。
見るに耐えかねなくなったのか、私を引きずり俊達の元へ向かった次の瞬間…信じられない行動を起こした省吾。
ドカ!ドス!バコ!
俊の相手をしてた二人をぶっ飛ばし、二人は倒れ込んだまま動かなかった。
私は省吾を睨み付けた。
パシーン!!!!
乾いた音が響いた。
「誰にガンたれてんだ、てめー。」
省吾が平手打ちをし、言う。
「てめー!!!!!!!!!」
蒼空が叫び走り出したのを俊が止める。
「止めんな、俊!!!!!!」
蒼空が怒り叫ぶ。
いつもの蒼空ではなくなっていた。
海斗が蒼空を抑える。
「オマエ後で覚えとけよ?殺す。」
俊が言い、俊と龍鬼全員の顔が変わった。
「は?後があればな。(笑)もう、殺れよ。」
省吾が男に言うと、カチャと音を立てナイフを出した。
男がそのまま俊を刺そうと向かうが交わされる。
それと同時に省吾が私の腹部を殴った。
「うっ……」
「誰が交わしてィィと言った?ニヤ」
俊の動きが止まった。
更に、顔が変わった。
「次交わしたらまた殴るぞ?(笑)殺れ。」
卑怯者。
私は髪を引っ張られ無理矢理起こされた。
男が俊の腕を刺す。
「くっ…………。」
俊の小さな苦痛が聞こえる。
「ィィぞ!(笑)徐々に痛め付けて俺を楽しませろ。」
男が反対の腕を刺す。
次は両足。
既に4回刺され、血を流している。
「族は頭が殺られれば終わりだもんな、しっかり立ってろよ?アハハ(笑)」
省吾が笑いながら言う。
「卑怯者。」
私が口を出す。
「あ?誰に向かって言ってんだ、コラ。」
省吾が私の顔を自分に向けた。
「オマエに言ってんだよ!」
「ああん?気が変わった………もう一発で殺せ。狙って刺せよ?」
男が手の汗を拭う。
「腹部と心臓どっちでもィィぞ。」
省吾が言う。
「やめろーー!!!!!!」
私は叫んだ。
「うっ………。」
俊が苦痛に顔を歪める。
「おい、しっかり刺せよ。…後から俺をどうするんだって?俊。ニヤリ」
「やめろって言ってんだろーが、聞こえねーのか?」
私の口が勝手に開く。
「あ?(怒)」
「俊…私は大丈夫だから…殺れよ。黙ってないで、殺ってよ!なんで………なんで殺らないの………。」
声が詰まる…………そっか…………私泣いてるんだ…………。
「誰が何するって?ぁあん?」
省吾が面と向かって言ってきた………私は思いっきり頭突きをして、思いっきり体当たりした。
拘束されてる私はそのまま勢い良く倒れた。
それをきっかけに、みんなが動き出した。
蒼空と海斗が私を起こし、拘束を解いてくれた。
亮汰は起き上がった省吾をぶっ飛ばした。
俊はフラフラのままで、省吾の方へ向かう。
その背後で、男が掛かって行こうとしたのを、楓が殺った。
省吾は慌てて起き上がる。
俊は怒りが爆発したように、殴る蹴るをして、省吾を半殺し状態にした。
気を失った省吾を前に、俊は膝を付いた。
私は俊の元へ行った。
「もう…やめて。俊が血だらけ……死んじゃう。病院に行って、お願いだから。」
俊の前で崩れ落ちる。
「そんなに…心配か。なんで泣くんだ。」
私は口をつぐむ。
蒼空と海斗が俊を支える。
俊が立ち、三人は背を唯奈に向け歩く。
「バカか、オマエ!心配してんなら、素直に言えばィィだろうが。…仲間だろ、唯奈。心配かけんじゃねーよ。」
亮汰が言う。
「私…!!!!族の事ホントに分かってないし、迷惑かけっぱなしだけど、みんなと一緒にいたい。…ワガママだけど、もう独りでさ迷いたくない。みんなと居て気づいた…孤独は嫌だ……。」
楓がそっとたたせてくれた。
「ずっと一緒に居ればィィよ。迷惑だとも、ワガママだとも思ってない。唯奈が居ないとみんなも楽しくない。」
そう楓が言うと、前にいる海斗が言う。
「唯奈、置いてくよー!」
楓も俊たちの元へ向かう。
仲間…………。
私の仲間はみんなだけ…。
改めて感じたよ。
みんなのこと。
先に行く5人に走って飛び込む私。
「いって~……。(汗)」
俊の顔が歪むが、優しく笑っていた。
それを見てるみんなも笑顔だった。
「さ、病院行くよ。」
蒼空が言う。
車に乗り込み急いでむかう。