その時だった。
『助けて…』
「え、?」
またあの声が聞こえた。
助けを求める声が。
「ん?
どうした?」
突然黙った私を見てナツキさんは顔をしかめた。
『私を…助けて!!』
もう一度ハッキリと聞こえた。
「ナツキさん!!
戦闘準備してください!!」
「は?」
「ナオは早く舵とって!!
そうしないと乗り込まれる!!」
もし、誰かが助けを待っていて
この大海原で聞こえるのなら他の海賊船が近づいていると考えてもおかしくない。
「…どうした?
何があった?」
レオさんが食器を片付けていた手を止めた。
「誰かが助けを…
私に助けを求めてる!!」
「おい!!」
私の言葉と舵を取りに行ったナオが帰ってきて声を挙げたのがちょうど重なった。
「敵がもう近づいている!
アイの言うとおりだ!!
急いで!!」
「ったく!!
めんどくせぇ!!!」
ナツキさんはすぐに甲板に飛び出して行った。
「ハル!
絶対にここから出ちゃだめだからな?」
私はこの騒ぎに唖然としているハルにいった。
「わ、分かった!!」
「よし!
じゃぁ行って来る!」
他の人達も甲板へ向かい私も後を追ったのだった。