シンSIDE



『おはよう。
何を見てたの?』


『朝の海は綺麗ですから。』


そう言って遠くを見つめたアイの表情は悲しく、切ないものだった。


なのに僕は不謹慎にも

そんな君の表情が綺麗だと思った。




きっと僕等に話さない秘密が沢山ある。

きっと君は何か背負って生きている。


そう感じた。


この前の人格が変わった時だって君の目は悲しそうだったんだよ?




「シンさん!シンさん!
卵は焼いちゃっていいですか?!」


「あ、うん。
よろしく。」


しまった…
今はアイと朝食を作ってる所だった。


「具合でも悪いんですか?

さっきから一言も話してないですけど?」


僕がアイの事を考えてボーッとしていたことも知らず本人は横から僕の顔を覗き込んで来た。



「いや、少し考えてごとをしてただけさ。

さっ!
皆を起こして来てくれるかな?」


「了解いたしました!!!」


皆を起こすように頼むとアイは待ってましたと言うように食堂から飛び出した。



自分でも信じられない。


これじゃぁアイの事が好きみたいじゃないか。


いや…

好きなんだと思う。


「全く…

どうやら僕は君には敵わないみたいだよ…」

僕はボソッとスープをかき回しながら呟いた。



シンSIDE終わり。