「なんでアンタはそーなの!?なにも……全然、わかってない!!」


勢い余って、伊織の頬をぶってしまった。


いつも口先ばっかで、やたらとガキで、嫉妬深くて、


あたしが好きって言ってるアーティストに興味を持ちもせず、


おまけに貶すんだ!?



って思ったら、ムカついてしょうがなくなった。



あたしだって、伊織を裏切って朝野くんとやり取りしてたのは悪かったけど……。


だけど、伊織と一緒にライブに行けたら、楽しいだろーなって思ってた……。


「……わかんねーよ。お前の考えてることなんか、俺にはサッパリわかんねー。

俺のこと……何回裏切ったら気がすむわけ?」


「裏切る……って。ちょっと話しただけでしょ!?」


「俺は……嫌なんだよ!!なんでわかんねーんだよ……」


伊織はあたしのケータイを机の上に置くと、そのまま教室を出ていった。







もちろん、クラスの子たちは呆然としてあたしを見つめてる。


……ヤバぁ。


とんだ痴話喧嘩だよね……。