あたしたちは廊下の端まで来て、誰もいないところで立ちどまった。



「あたしのこと……伊織くんから聞いたんでしょ?」



「うん……腕、大丈夫?」



松本さんの手首には、昨日と同じように包帯がグルグル巻きにされている。




「中学のときは、よくリスカしてたの……。絶対にもうしないって決めてたのに…またやっちゃって……」



松本さんは腕に手を添えると、軽く俯いた。



「よくやって……って、どうしてそんなこと!?絶対にダメだよ!」



「うん……わかってる。だけど、気がついたら……」



気がついたら……ってどういう症状なわけ?



あたしには全く理解できない。







「理由は……お母さんの彼氏だよね。昨日はゴメンね。あたし委員会があるって言ってなかったから……」



「ううん、越野さんのせいじゃないよ。昨日はすごく気分が良くて、アイツがいても平気な気がしたの。

だけど…帰ってアイツの顔見たら…なんか、すごくイライラして……」