「あの日……あたしを、どうやって助けてくれたの……?」




「え…どうやってって。溺れてたから急いで飛びこんで……彩花は気を失ってたから、抱えてすぐに地上に引きあげた」




「あそこ…堤防が高いよね。どうやってあたしを抱えたまま引きあげたの?」




「……なにか言いたいことがあるなら、ハッキリ言えば?」




突然、朝野くんの口調が強いものになる。




今までそういう言われ方をしなかっただけに、あたしは少し怖くなった。









「あのとき…誰かいたの?」


「いないよ…俺と彩花のふたりだけだった」


じゃあ、あのジャージは誰のなの?


朝野くんがウソをついてる…?


ジャージに染みついた香水の香り、


肘のほころび、あれは朝野くんのじゃないよね…。


それに、伊織だって自分のだって言ってたし。



「あたし…あのときのこと、少し思い出した」



ハッとしたように、朝野くんが目を見開く。