「そろそろ帰らなきゃ、もう日が暮れる」

僕がそう言った。彼女もうんと頷いて、それでも繋いだ手を離そうとはしない。

僕も、離したくない。

だけど、日が暮れてからだと、僕の親がうるさい。

そして、まだ夜は肌寒い。

その中は、僕にとって死を早めることになってしまう。


少しでも桜子と一緒にいたいから、日が暮れる前には家に帰らなきゃいけない。