「桜子は綺麗だよ。・・僕を一瞬で魅了した」

どうせこの先の僕の人生は短い。

なら、初めて恋した相手の心に。

『優希は、優しい。だけど、そんなこと言われると勘違いする』

大人びた表情に一瞬幼さが過ぎった。

「いいよ、勘違いしても」

『・・・・ばか』

桜の花びらよりも、綺麗な薄紅色に頬が染まって、

「好きだ・・・よ」

きっと僕も同じだろう。

『うん』

彼女は頷いた。


僕らが付き合っていた期間は、この桜が散るまで。

五月の終わりまで。