「綺麗だね。君は何をしているの?」

僕は、そう彼女に問いかけた。

彼女は、舞い散る桜と同じ色に頬を染め、桜を見上げた。

『桜は、私なの』

「・・・え?」

困惑に眉を寄せる僕に、彼女は笑いかけた。

高鳴る胸の鼓動に、初めてその時気づいた。

『桜子。藤堂桜子っていうの。だから、桜はまるで私みたいに思える』

桜子・・・口の中でそう繰り返した。

『あなたは?』

穏やかな瞳を真っ直ぐ僕に向けて、彼女は、桜子は聞いた。