裏庭に向かう途中授業始業のチャイムが鳴ったが、それを無視して歩みを進めた。

なぜか、桜の下にいた生徒は授業に行かないと確信していた。


「やっぱり・・・」

裏庭に、その生徒はまだいた。

その呟きが聞こえたのか、生徒はこちらに振り向いた。


息を呑む気配が、お互いに伝わった。


一際強く吹いた風が、桜吹雪きを起こした。

彼女の腰に付きそうなほど長い髪が、風に大きく揺れた。


桜吹雪きの中の彼女・・・


僕は、一瞬でその姿に思考を奪われた。