『優希、優希!!』


涙声が聞こえる。ああ、これは大好きなあの子声だ。


「・・・さ、・・・くら・・」


薄れる意識の中、必死に桜に手を伸ばす。

だけど、それを掴んだ桜子の手は震えていた。


最期の意識の中、一瞬垣間見た桜の顔は瞳には涙が溜まっていた。

その姿に重なって、出会ったときの彼女瞼の裏に蘇った。