「颯…さん…?」


どこか戸惑ったような声が聞こえてくる。彼女の顔はきっと赤く染まっているだろう。


「我慢してるなんて言うなって話。してるんだよ。でも、無理矢理は嫌なんだ。凜が大事だから。
だから…我慢させてごめんなさいはもう言わないで。我慢できなくなって、凜に嫌われることしたくないから。…凜が俺を嫌いになりたいなら、言ってもいいけど。」

「そんなこと…あるはずないです!」

「…それ聞いて安心した。」


俺はゆっくりと身体を離す。そして凜の両頬に両手を添えて視線を合わせる。やっぱり彼女の顔は赤い。


「好きだよ。誰よりも何よりも凜が大事。だから大切にしたい。」

「…ありがとう、ございます。」

「うん。そこでごめんなさいが来たらさすがに怒ろうと思ってた。」

「怒られなくて良かったです。」


そう言って、彼女は小さく微笑んだ。今日見る、初めての笑顔だった。


「やーっと笑ったし。」

「…だって引っ掛かってたんです。でも疑ってたわけではないんです。」

「疑われてたら1日中大好きって言い続けてたかもしれないなー…。凜が分かってくれるまで。」

「っ…本当にさらっと言いますよね…。」


さらに彼女の顔が赤く染まる。この瞬間が俺はたまらなく好きだ。


「そういう顔、好き。」

「また…!」

「だって俺にしか見せない表情でしょ?」

「それはっ…そうですけど…!」


素直で可愛い彼女の表情は見れば見るほど、彼女から抜け出せなくなっていく自分に気付いていく。


たくさんの君を知れば知るほど…ハマってく。