「そりゃあ好きな子とはずっと一緒にいたいし、家になんか帰したくないし、抱きしめたいしキスしたいし、…最低って思われてもいいっていう前提で言えば、キス以上のことだって望んでるよ。」

「…そう…ですよね。」

「だけど、凜の気持ちを無視してまでしたいことじゃないよ、全部。」

「…無理、してませんか?」

「それはしてない。本心。色んな事をしたいって思ってるのは認めるけど、それでもやっぱり凜の気持ちが一番大事だよ。そこをないがしろにして、凜に自分の欲をぶつけようっていう気にはならない。
…凜がいつもみたいに可愛く笑って傍にいてくれなくなるくらいなら、ありとあらゆる欲を抑えてた方がいいに決まってる。だから、我慢はしてるけど苦じゃないよ。それよりも苦しいことが俺にはあるから。」

「…笑ってるだけでいいんですか?」

「そんな浮かない顔してるよりはずっといい。」

「…我慢させてごめんなさい。私が子どもで…。」


俺の言葉が届かなかったわけではないのだろう。でも、彼女が自分をどこか責めているのは確かだ。


「凜がそこを謝るなら、俺も凜に謝らなくちゃいけない。…我慢させてるなんて思わせて、不安にさせて。」

「そんな、颯さんは何も…。」

「悪くないっていうなら、凜だって悪くないだろ。俺は謝ってほしいなんて思ってない。」

「でも…。」

「…じゃあ、そこまで言うなら、今ここで俺が押し倒してもいいの?」

「それはっ…だめです…!」

「でしょ?だったらさー…そういう可愛いこと言わないでよ、頼むから。」

「え…?」


困るよ、本当に。俺の我慢はいつも限界スレスレなんだから。
俺は彼女をぎゅっと抱きしめた。