20代半ばぐらいと予想しているが、それにしては仕事も家事も出来すぎる気がしないでもない。

「ねぇ、貴方本当は何歳なの?」

レジへと歩きながら聞いてみる。

昇進辞令のあった日以来、泣き顔を見られたのでふっきれたのか、佳乃は彼との会話の距離を、自分から縮めていた。

「レディに歳聞いたらあかんて。」

「あら、失礼。・・・なんて、言うと思う?」

真面目に答える気のなさそうなセッテに、溜め息を吐く。

彼は、自分の事を話してくれない。
だから、彼の名前も、年齢も、住んでいるところも、何もしらないのだ。

「ツッコミはよなったなぁ!」

嬉しそうに笑いながら、でもやはり答えはくれない。
はぐらかすのが、上手くないようだ。

「それはどうも。」

またお得意の“会社の規則”か。