食材の材料費は経費で落ちるらしいのだが、一緒のときは佳乃が出すようにしている。
セッテは、一緒に食べないからだ。
帰ったら食事が用意されているので、必要無いらしい。

「高村さん、みっけた。」

6缶パックの冷えたビールを手に持った佳乃を見つけ、セッテはすかさずそれを、自分の押していたカートに入れた。
そのカートには、先程悩んでいたレタスや、他にもたくさんの野菜が入っている。
冷蔵庫の野菜室に入るだろうか少し心配になるぐらいに。

発泡酒ではなく、ビールを選んだのは、自分へのちょっとした贅沢なご褒美。
今回はいつも買う銘柄ではなく、新商品のものにしてみた。

「最近、よお飲むなぁ。」

カートを押しながら、セッテが苦笑する。

「帰りが早いと、飲みたくなるのよ。貴方もたまには飲んで行けば?」

「え~、俺、未成年やも~ん!」

「はいはい。」

かわいこぶりながら冗談を吐くセッテを適当にあしらうも、ふと彼の実年齢が気になった。
まさか本当に、酒の飲めない年齢ではないだろう。