夜な夜な、腕を切る。

怖さは残っているから、そんなに深い傷にはならなかったけれど。

ただ、一個は今でもその痕がはっきりとわかる。

ゆえに、他人の腕の自傷あとをみると、すぐそれと気づいてしまう。




シュッ




手を引いた後に、ぽたぽたと滴る血を、眺めていた。

暖かい。

鉄分の味。


痛みは、感じなかった。