「はー……温泉さいこーっ♪」 はしゃぐ舞璃に「そうだね~」と結羽香が返す。 まるで木が露天風呂の周りを囲むように立っていて…真上に見える月が放つ、淡い光が湯船に揺らいでいる。 「綺麗……」 思わず、お湯ごと掬ってみた。 ───…私の手の中で、月は揺れる。 儚いその姿は、手のひらから零れ落ちる水と共に消えていく。 まるで、変わりゆく何かを暗示するかのように──…。