…あ。こんなゆっくりしてられないんだった! 軽く走りながら駅に向かう。 静かな夜の町には、走る私の足音と、キャリーバックを引きずるように転がす音だけが響いて… しばらくこの町から離れることへの、妙な寂しさを引き立てているようだった。 もうすぐ…駅だ。 駅が目に入ったところで、一旦足を止めて乱れた髪を直した。 「よし…行こう」