「キミもギターが好きなの?」

キミは微笑みながらあたしに聞いた。

「あたしね、この近くの星陵高校で軽音部やってるの。ピックすり切れちゃったから新しく買おうって思って…」

あたしが、そう言うとキミは凄く驚いた顔をして。

「そっか。俺はキミの高校の隣の男子校でバンド組んでんだ。
そういえば、名前なんて言うの?」

ドキッ…と胸が高鳴った。
まさか名前を聞かれるなんて思ってなかったから。

「えと…真井澤 冴香…」

オドオドしながら、答えた。

名乗るのがこんなに緊張するなんて。

「可愛い名前だね。
俺は安齋 龍太…よろしくね、冴香」

「えっ…あ、」

また胸が高鳴った。

いわゆる、一目惚れってやつです。

そのあと、
アドレスを交換して別れた。

ピックを買わずに店を飛び出して走って家まで帰った。

だって、
お店に居たらドキドキで心臓が壊れそうだったから。

安齋 龍太…。

どうやらあたしはキミのことが好きになってしまったようです。