キミとあたしの出会いは、
あの楽器店。

澤宮楽器。

あたしは、
その日ピックを買いに行ったんだ。

慣れた手つきでお店の扉を開けて、
ピックが置いてある所に足を運んでたら。

ギターが飾ってある一角に、
背が高くて、
オシャレで、
ギターケースを背負って、
生き生きとした表情でギターを見つめる、

キミが居た。


あたしはピックのことなんか忘れて、
君に見とれた。

キミはあたしの視線に気付いて、くるっと一回転してあたしの方を見た。

「何か用?」

と、不思議そうな顔をして問う。

多分あたしは顔が赤かったと思う。

「いやっ…べべつに」

「噛みすぎ」

クスッとちょっとバカにしたような笑いをキミはこぼした。