「どしたの?」
ななは俺の顔を
覗き込んで聞いてくる。
「なんでも?」
俺がななに背を向けて
しらばっくれても
「うそ。何かあったんでしょ?」
優しい声で聞いてくる。
「なんでもねぇって」
それでも
俺が背を向けたままでいると
「しゅんたぁー」
「うわっ…」
なながいきなり
後ろから抱きついてきた。
「ばか、学校だぞ。
誰かに見られたら…」
俺が焦って
離れろ、と言っても
ななはくっついたまま。
「学校じゃ
話しちゃだめって決まり。
今さっき俊太が先に破ったよ。
だからいいでしょ」
意味の分からない理屈。
「いいわけねぇ…」
ななが、こんなことするから
俺の心が泣くんだ。
「元気ないのは
本当でしょ?」
俺の気持ちに気づくはずもない
ななが俺の背中に
顔をくっつけながら言った。