彼女・・・公園で出会った高校生は手近な喫茶店に入り、レモンティーを飲んでいた。


(……すげぇ綺麗)


少女(なのか?)の所作一つ一つが、いちいち俺を惹き付ける。


「……お兄さんは、お飲みにならないんですか・・・?」


俺の目の前には、まだ一口も飲んでいない珈琲。


「あ、あぁ……。 ・・・いただきます」


何度目になるかわからない言葉を言い、俺はまた俯いてしまう。


「お代ならお気になさらないで下さい。このお店、私の姉がきりもりしているんです」


優しげな微笑で言われ、思わずドキッとしてしまった。


「……お姉、さん?」


会話の糸口が見つからない俺は、彼女の姉について聞いてみた。


「はい。私の姉はとても聡明で、私の憧れなんです」


姉の話になった瞬間、彼女の声音が変わったように思った。


「・・・姉妹、か。……俺にも、実の姉じゃないけど、実の姉みたいに思ってる人がいます」


「実の姉じゃない」というところが気になったのだろう、彼女は首を傾げて俺を見詰めている。


「……職場の上司なんですけどね・・・」


苦笑混じりに言うと少女は納得したような顔で首を縦に降った。