俺は暫くの間、その声の主を見詰めていた。
高校生だろうか、艶やかな黒髪に今時の高校生には珍しいロングスカート・・・
中でも、一際目を惹くのはその小さい身長だ。
「……あの・・・?」
その鈴の鳴るような声で我にかえると声の主は俺を訝し気に見詰めていた。
「あっ、す、すみません・・・」
バツが悪い気持ちになった俺は、そそくさと場を離れようと後ろを向き
「ぁ……と、待って!」
……少女に呼び止められた。
「・・・こんなにいいお天気で巡り会うのも、きっと何かの縁。 もしよかったら、一緒に喫茶店にでも行きませんか?」
それが、彼女からの最初の誘いだった。