ふわっと甘い香りがしたきがした。
でも、視界が塞がれてしまった。
暖かい手。人の体温が伝わる。心地よい…。
「怖がらなくていいよ。お……私が守ってあげるから。」
風だ。風が塞いでる。はずしたいのにはずせない。男の人の力ってすごく強い。
それに、"私"っていった。
すごく怖い。でも今の風は学校であった風。
家であった風じゃない。
「だいじょうぶ。治してあげるわ。私に任せて?」
男の子は苦手なのに……風がいけないんだ。
怖くて怖くてたまらない。
震えが止まらない…。どうしよう…。
「や…やめて…。」
「嫌。」
おもいきり力を入れて何とか振り解いた。
何とか…じゃない。風が力を緩めたんだ。
風の顔をみないまま私は部屋を去っていった。

家の中を走り回る。怖い怖い。
昔の記憶が頭を横切りそうで思い出しそうで…。
落ち着く場所。本がたくさんある部屋にたどり着いた。
ここなら大丈夫。本の香りがほんのり香ってさっきまで恐怖であがってた心拍数も落ち着いてきたみたい。
天気は曇ったままの最悪の天気だけれど…。
私は本に囲まれるようにいつの間にか寝てしまっていた。