「じゃいくよ」

野々宮がリズムを刻むようにギターをトントン、と叩いてピアノが鳴り、続いてギターが入る。


始まったのは、恵も知っているメジャーな曲だ。

男性ボーカルのバラード。


前奏が終わって響いてきた小山の歌はお世辞じゃなく、上手かった。

ボイストレーニングもしていないはずなのに、低音から急に飛ぶ高音域まで、見事に歌いきった。
一度も声を裏返したりはしていない。

そして素人目にもわかる表現力。

ハモりのパートで歌った野々宮もかなり上手かったが、小山はずば抜けて上手い。