「ユウ、お土産はー?」

ぼんやりとした声で呼びかけてきたのは眠そうな顔の男の人だ。

「あー、はいはい」

ユウは荷物を漁ってコンサートのグッズから目当ての物を取り出し、その人の方へ放った。

すると、はいはい! と挙手する男が一人。

さっき裕が順番に言え、と言ったのを忠実に守ろうとしているみたいだ。

「はい、モモどーぞ」

裕が指名すると、モモと呼ばれたその男は右手をマイクのようにして口元に持って行き、

「その子はユウの彼女ですか??」

とどこかのインタビュアーのように質問してから右手を裕に向けた。