扉の外にいるだけで、ガヤガヤと部屋の中の賑やかな様子が伝わってくる。

この中に入っていって大丈夫なものか、と不安になったのが裕に伝わったのか、

「大丈夫、心配すんな」

と優しく微笑まれ、違う意味で緊張した。


裕が扉を開けて先に部屋に入る。

「おぉ、久しぶり」

部屋の中の騒がしさが一旦止んだ。

全員の視線を一気に集め、恵が思わず首をすくめたとき、また爆発したように話し声が重なった。

「久しぶり。何、彼女?」
「ユウじゃん、元気してた?」
「久々に顔見せたなお前」
「髪伸びたー?」
「どこ行ってたの?」
「お土産は?」

重なりすぎて何を言っているのかは全く分からない。