ライブに向かうときも、ライブ中も、その帰り道も、恵は勝手に裕との擬似恋愛を楽しんでいた。
午後早くからの公演だったため、帰り道は明るい。
また校門の前で解散だな、と学校が見えてきたあたりで思ったとき、裕から思ってもみない提案があった。
「笹原さんこのあと暇?
俺今からノリん家行くんだけど良かったら一緒にどう?」
一緒に、と言われてもあたしなんかがついて行っちゃって良いのかな。
「あ、ちなみにノリ以外にも千鶴ちゃんとかその他何人もいるし、初対面とかそういうの全く気にしない奴らばっかだから遠慮はしなくていいんだけど……」