その日の帰り道、恵は少し寄り道をして大きめの書店に寄った。 特に用はないけれど、本屋と雑貨屋は何時間でも滞在できる。 CDコーナーを物色していると、見覚えが無くはない顔を見つけた。 相手もほぼ同時に顔を上げる。 「あ、ユウの彼女」 裕のことをユウ、なんて呼ぶ人は恵は1人しか知らない。 「あの、だから彼女じゃないって……」 この前も否定したはずなんだけどな。