「……」
「………」
「…………」
その後。
ひたすら無言のあたしと河田。
河田は真っ赤になってただそこに立ち尽くしている。
…あたしの手をつかんだまま。
「…あの」
気まずくなったあたしが声をかけると、河田がビクッと肩を震わせて
「すっ!すすすみません!!!!」
あたしの手を光の速さで放した。
…なんか、
傷つくんだけど。
「…もう、期待させるようなことしないでよ」
純平にあたしを触らないでって言ってくれたこと、嬉しかった。
嬉しかったけど
嬉しすぎて
…余計な期待、しちゃうじゃんか。
「…え?」
河田が訳が分からない、といった表情で問い返してくる。
「だから」
河田の鈍さに少しイライラしてきた。
「あんたは、…あの子が好きなんでしょ」
「…あの子?」
「三神結衣だよっ!まぁあの子はあたしより10000万倍性格よさそうだし負けるのは仕方ないけど、でもやっぱりムカつくから余計な期待させないで」
「結衣…?」
河田がピュアな瞳で大きく首を傾げて
「…え、あの、牧瀬さんが言ってる好きって、その…いいいい異性として、って意味ですよね?」
「それ以外に何があんのよ」
「え、あの、僕、結衣のこと…別に好きじゃないですよ?」
「……は?」
「…はい」
「……前、言ってたじゃん。
あたしが三神結衣のこと好きなのか聞いたら好きって、ハッキリ」
「あぁ、それは人間的に好きという、その、意味でして…」
マ ジ か 。