「あっ牧瀬さん!」


「河田?」




放課後、掃除を終えて純平に言われた通り中庭に向かおうとすると、あたしのクラスの下駄箱の前に河田が立っていた。



「どうしたの?誰か待ってるとか?」


「…え、いや、あの…」




顔を真っ赤にして、ゴニョゴニョと言葉を濁す河田。






「あの…ま、牧瀬さん待ってました」


「……え」





そんな河田につられて、あたしの顔もボッと一気に熱を帯びる。





「…よ、よかったら一緒に帰らないかと…よ、よよよかったらなんですけど!本当に暇だったらなんですけど!!」




固まるあたしに焦ったのか、必死に言葉を繋ぐ河田。





…う、嬉しい…!!河田から誘ってくれるなんて…でも…





「………ごめん。今日は純平と約束してて……」





くそあのチャラ男………こんなまたとないチャンスを………相談内容によってはぶっ殺す。





「…純平?」



「あ、うん、あたしのクラスの男子なんだけど…なんか相談のって欲しいって中庭呼び出されて。本っ当ごめん!!」




パンっと勢いよく顔の前で両手を合わせるあたし。






「…それで…あの…明日…とか…よかったら」




恐る恐るそう言うと、あたしが断ったのが癪に触ったのだろうか、珍しく少し険しい顔をした河田がハッと我に返ったように




「…あ、はい。じゃぁ明日…」



ニコリと微笑んだ。






「…!!!」





コブタ☆スマイルに美愛は1000のダメージを受けた!!!




「…じ、じゃぁ、明日ね!本当ごめんね!」




噴き出しそうになる鼻血を必死に堪えながら中庭に歩き出すと




「…牧瀬さん!!」


「…ん、何?」


「………いえ……また明日」




歯切れの悪い河田。





内心首を傾げながらも






「うん!明日ね!」






あたしは自分の出来る精一杯の可愛い笑顔で、河田に軽く手をあげた。