胸がられるように痛くて、胸に手をあてて地面に膝をついた。


泣いているとゆっくりとした、足音が聞こえ急いで袖で涙を拭き

池に顔を写すと、泣いたあとがほとんど残っておらず、ほっとする。


ー すると。

ーザッー

「どうしたんですか?」と上から優しく降ってくる低い声、間違えるはずがない…





(慄瞬様…)


「いえ、ただ池の鯉を見ていただけです。」

と言うと「そうですか?」と心配そうに目を細めてくれた。

きっと慄瞬様は泣いた後に気づいているはず、何もきかないでくれた。       私は無理矢理、笑顔をつくり


「慄瞬様、ご婚約おめでとうございます。」と言うと

少し眉を寄せた後、いつもの表情に戻り、本当に嬉しそうに笑って

「ありがとうございます。」

と言った。

その時、私は思った

花月様は、この方にとても想われているのだと。
それほど、その時の笑顔は誰もがそう思うほど、嬉しそうな表情たったのだ。