その日、いつものように仕事を早めに終わらせて、毎日通っているお屋敷の中にある大きな池の前にきていた。
そこには鯉が泳いでいて水も透き通っているので、とてもきれいだった。
そして、その池の近くには
このお屋敷で一番大きな木がある
その木は、人の住む地に生える“サクラ”とゆう木で、慄瞬様がこの“サクラ”を気に入り屋敷に植えたものだ。今は調度その花が満開で見ごろだった。
「きれい…」と思わず呟くと、後ろから「そうですね…」と思いもしない方の声が返ってきた
ぱっと振り向くと、その方はにこりと笑って「私も、そう思います」といって“サクラ”を見上げた。
(慄瞬様…)
その方は、私がお慕いしている慄瞬様でサクラを見上げるそのお顔は、とても美しかった。