その瞬間、俺は彼女の上で馬鹿みたいに泣き喚く。

まだ、熱を持った体が俺を包み込んだ。

言葉にならない音が、部屋の中で弾けて消える。


真っ暗で、もう闇しか存在しないこの空間には似合わない、彼女の優しい声が聞こえた。



「最高の嘘をちょうだい」

「…お前が大嫌い」

「じゃあ、最高のホントをちょうだい?」


彼女が俺の目を見つめてから、
触れるだけのキスをする。


「愛してる、本当に」


その時、彼女も泣いていた。

泣きながら、笑っていた。