見たこともない裏道を器用に通って、気づけば目の前にはあたしが住んでるマンションが立っていた。


「美波さん、着きましたよ。」

「あ……うん、うん、ありがと…」


あたしと希龍くんが付き合ってるなんて、そんなわけないじゃない。

そんなこと言われるなんて思ってもみなかったから、驚いて言葉が出なかった。


「俺、ここで待ってますね」

「家入って待っててよ。ここで待つの、寒いでしょ?」

「大丈夫っす。希龍さんに怒られそうだし…」


何を勘違いしてるのか分からないけど、希龍くんに遠慮してるみたいだ。

わざわざあたしのために来てもらったのに、寒い中待っててもらうのはほんとに申し訳ない。


「何で希龍くんが怒るの?大丈夫だから、入ってよ。絶対寒いから」

あたしがそう言うと、春斗はしぶしぶ頷いてついてきた。